磯キリンのぶどう酒道楽

更新 2006年11月14日

遠浜 々「虹の輪」の紹介

 

30歳を目前にしたある日、将来を嘱望された小川松男は突然目に違和感を覚える。診断の結果 は緑内障。手術を受けるが、ほとんど視力を失ってしまった彼は絶望の淵に落とされる。光が溢れていたように見えた自分の将来が突然閉ざされてしまったと き、人間はどのように次なる道を模索してゆくのか。逆境に立った人間の強さとたくましさが、松男の心の葛藤を通して描き出される感動のヒューマンノベル。 積極的に生きる勇気が湧いてくる。

体 裁  四六判上製256ページ  定価1575円
発行元  文芸社
         

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  ワインはリラックスして飲むもの

 最近インターネットを見ていて不思議に思ったのは、「カジュアルワイン」、「気軽に飲めるワイン」などと言う言葉や、「入門者から上級者まで満足できる」などと言うキャッチコピーが、ワインショップのサイトに見られることです。
 紳士服の世界では、カジュアルにタイすることばは「フォーマル」だそうです。最高位の敬意を表すために着る衣服で、昼間ならモーニング・コート、夜は燕尾服かタキシードだそうで、有名ホテルに置ける結婚式の花婿さんや、オーケストラの指揮者ならいざ知らず、現在こうしたフォーマルウェアを着る機会は、ほとんどなくなってきています。公式晩餐会でも、まあ、ネクタイは締めるでしょうが、かなり思い思いの服装をしているようです。ワインは「小笠原龍」式のお作法という物もなく、最高級の科のロマネ・コンティでさえ、楽しく服むのが基本です。
 また、かつてはドイツのリープフラウミルヒやポルトガルのマテウス・ロゼなど甘口のピンクや白のワインが{入門用}とされたこともありましたが、今はいきなり赤から、それも比較的しっかりした物から初めても、不思議ではなくなりました。文学を知らない人が、サルトルの「嘔吐」やカミュの「異邦人」などを読み、クラシック音楽を知らない人が、シェーンベルクやノーノの作品を訊いても、退屈なだけでしょうが、ワインを飲んだことのない人が、フランス旅行の記念にロマネ・コンティを飲んでも、罰は当たらないだろうし、美味しく飲めるはずです。

  褻(け)の飲み物になったワイン

 昔、といっても、ほんの30年か40年前までは、酒は“晴れの日”の飲み物でした。正月や村祭り、遠くから友人や親戚が訪ねてきたとき、一緒に酌み交わすものでした。真日酒を飲むのは、特別裕福な人か、逆に車夫馬丁や商売女など、社会の底辺に暮らす人のどちらかでした。
 高度成長が歌われた60年代になってから、酒やビールがごく日常的な、いわゆる毛の飲み物になり、“晩酌”をする人が。増えてきました。
 小生がワイン好きになったのは、75年頃、近くに住んでいた山梨県出身の友人が、一升瓶入りの“ぶどう酒”を持ってきてくれたのがきっかけでした。彼に言わせると、一升瓶入りの、ねじ栓がついたものをぶどう酒、750ml入りの、コルク栓のついたのをワインというそうですが、“ぶどう酒”の方は一本千円前後の価格で出回り、女性たちを中心にたしなまれていたものの、“ワイン”のほうは高嶺の花で、経済的に余裕のある人やスノッブのものでした。
 実際には今でも、デパートや専門店に多くディスプレイされているワインは、三千円、五千円あるいはそれ以上の商品が多いようです。ワインの入門書や銘酒事典などというのを買ってきても、メドックの特級の解説は出ていても、安いワインの解説は出ていません。また、レストランなどでワインを注文しようと思っても、リストに掲載されているものがあまりにも効果なので、よほど意気込んだときでないと、「酒なし」で帰ってきたり、安いビールで我慢してしまうこともあります。
 しかし、ソムリエ世界一になった田崎氏の文章なども丹念に見ていると、700円くらいのブルガリアのワインが推薦されていたりしますし、デパートや大型ワイン専門店でも、千円以下の商品が豊富な店が増えてきました。お金を湯水のように使える人は別として、一般の人が毎日ビールや日本酒と同じようにワインに親しむには、このくらいの値段で、しかも個性的でおいしく飲めるワインが必要です。
 インターネットのオンラインショップでも、メドックの格付けシャトーや数千円以上する商品が中心でしたが、今では1本500円程度のものをかなり見かけるようになり、一本千数百円くらいまでなら、かなり種類も豊富になってきています。このサイトではそうした日常気軽に飲めるワインについて解説します。

ワインスノッブについて

 小生がぶどう酒道楽を楽しむのに一番の弊害だと考えているのは、いわゆる 「ワインスノッブ」です。「ワインが好き」というと、相手は口では「それは高 尚でいい趣味ですね」とは言ってくれますが、心では「なんて気障な野郎なん だ 」と思っているに違い有りません。
 書店で手に入るワインの本は入門書から上級者向けの解説書、さらに酒店や ソムリエなどワインを職業としている人のための参考書まで、おそらくは100 を越えるはずですが、そのほとんどにはボルドー地方メドック地区の特級を産す る5大シャトーやロマネ・コンティ、シャトー・ディケムなどの超高級酒 につ いては、微に入り細にわたって述べられていますが、一本千円以下で買えるワイ ンについては書いてあったとしてもほんのわずかです。

 「高級ワイン」も自動車や土地・家屋などに比べたら単価が安いので、ちょ っと思い切れば庶民でも全く買えないことはないわけですが、97年になってか ら特に値段の高いものから値上がりと品不足が激しくなっています。原因につい てはいろいろ言われ、アジアなどの経済の発展でブルジョワ階級が多くなり、レ ストラン用や贈答用などに人気が集中しているとか、ヘルシー指向で、蒸留酒が 嫌われ、ワイン、特に赤ワインが好まれるようになってきたという説などがあり ますが、欧米ではワインやコーヒーなどはよく投機の対象になるので、そうした 傾向が出てくると思惑買いが多くなり、価格を押し上げるのでしょう。そのため にカタログ本に乗っているワインが欲しいと思っても、デパートや大型店を何件 か回ってやっとあったとか、地方だとただ見るだけのカタログ本になってしまい かねません。
 日本人はフランスへ旅行へ行くと、上にあげたような超高級酒を飲みたがる 人が多いそうです。いかに有名なワイン、高級なワインを飲んだかということが 、海外旅行経験者、ワイン愛好家のステータスシンボルになっているようです 。また、日本人には「一生に一度でいいから」という思い入れもあるようです。 江戸時代の庶民がお伊勢さんにお詣りに行くのを一生に一度の楽しみにしていた ように、一生に一度そういったワインの本に書いてあるものを飲んでみたいとい う心理が働くのかもしれません。高級品は「うまいから」というより希少価値で 値段が高いのです。特に97年になってから、超高価格のボルドーのシャトーも のの赤ワインが高騰し、週刻みで何l上がったとか、二月で20万円上がったな どと言うものが出ているようですが、これも当然おいしくなったからではなく、 「飲んでみたい」人が増えたために他なりません。

 ワイン生産地には大きい方から地方(州に相当)、地区(郡に相当)、村 とあってその下にシャトーや畑があります。利き酒の専門家ともなるとどこのシ ャトーの何年物ということがわかるそうですが、まずボルドーとブルゴーニ ュ の区別がわかり、そこで栽培されているぶどう品種の特徴などがわかった上 で ないと、高級品を飲む意味はありません。
 フランス人にしたら、日本人旅行者がエスカルゴとロマネ・コンティの組み 合わせなどというのはモリエールの喜劇以上でしょう。最も、せっかくフランス に行ったのなら、ロマネ・コンティよりもコミック座の「タルチュフ」を見た方 がいい思い出になるかもしれません。

    ワインのコストパフォーマンスについて

 最近パソコンやオーディオ製品などの機械ものではよくコストパフォーマン スと言うことが言われます。価格に対する性能比、いわばお買い得度という意味 です。クラシックのCDなどでもこの言葉はよく見かけます。値段が安い割に 、 演奏や録音が優れているという意味です。
 ワインの場合も、商社やショップのプリントにはよく、「この2千円のワイ ンは普通なら5千円以上する」とか、千数百円のワインに「某有名作家が、これ は1万円の値打ちがあると言った」とか、あの悪名高き不動産屋も顔負けのコ ピーが堂々と書かれていることがあります。また「一流ホテルで使われている」 と いうのもあります。不動産と違って、もし嘘でも実害はないのですが、慣れ ない人は、間に受けて買ってしまい、「これが?万円の味か」と思うかもしれま せん。

 実は上のコピーは本当は「嘘」とはいえません。というのはおおよそワイン に対する個人の価値観というのは嗜好の問題だからです。実際にいろいろなワイ ンを飲み続けていると、5千円のワインが「何だこれは?」というように口に合 わない反面、千円未満で買ってきたワインに「すばらしい」と感動してしまうこ と もよくあります。また作家の中には、開高健や山口瞳など、洋酒メーカーの 壽屋が酒店向けに出していた「洋酒天国」の御用達から出発している人がいて、 小説や随筆などを見ているとウィスキーやブランデー、ワインなどの名前が出て 来ることがあります。

 日本の文学、特に戦後に関しては、国民のほとんどが「中流」以上の生活水 準になっているためか、ワインも物語の小道具として出しやすいようです。小説 に出てくるワインの名前も、作家がワインに趣味が歩かないかをよく物語ってい ることが多く、その場にふさわしいものを出している人と、うろ覚えの適当な名 前が出てきている人がいます。三島由紀夫の「豊饒の海」には、シャトー・イケ ムが出てくるのですが、ワインに詳しい人なら、茶とーをつけたときは「ディケ ム」、つけないときには「イケム」と言うことはよく知っています。

 ロシアやフランスなどの抑圧された人たちが主人公になっている小説の方が 、深みがあっていいと思うのですが、比較的最近のものでは、住井すゑの「橋の ない川」くらいしか見あたりません。しかしあの小説が目立たないながらロング セラーで累計数百万冊出ているのは、それだけ読者の共感を得ているからではな いでしょうか。

 また、一流ホテルには超高級ワインしかおいていないというわけではありま せん。ソムリエはお客の予算や好み、さらに料理にも合うように、いろいろな価 格やタイプのワインをそろえておきます。お客の中には、「本当はワインはどう でもいいんだが、な いと寂しいので」という人もいるでしょうし、また冷肉料 理(コールドミート )には 高級品は合わず、少し冷やしたボージョレがいいと されています。(ボージョレは、村名付きのサンタムールやムーランナヴァンな どでも2千円前後 で買えます )。

 前置きが長くなりましたが、ここから「お買い得渡」の問題に戻ります。ワ インの値段はまさしく自由経済の鑑みたいなもので、需要と供給の関係で決まり ます。ロマネ・コンティのような有名品は、有名料が加算さっるので、お買い得 渡は低くなると言われていますが、ワインの市場は、腕利きの鑑定の職人を何人 も抱えているネゴシアン(ワイン商社)がいくつも活動し、また何千年の歴史を 誇る世界なのですから、そう簡単にお買い得品が出てくると言うことはまずあり ません。日本は欧米諸国に比べると、流通関係が複雑なため、欧米よりかなり割 高なことは確かです。しかしディスカウントショップの普及などでその点は随分 改善されています。高すぎると思われる商品はあっても、非常にお買い得という のは少なくなってきたような気がします。

 最近「ワインの常識が変わる」というのを謳った書物が何冊か出ていますが 、この手の本もちょっと?のところが多いようです。ワインに関する知識という のも、長い歴史の集積で、一朝一夕に変わることなどあり得ないからです。もし あるとしたら、ワイン後進国である我が国に、間違った常識がいつの間にか通用 していたと言うことでしょう。

いろいろなタイプを試す方法

 ワインを鑑賞していこうと思うとき、いきなり高級品に手を出すのではなく 、例えばフランスの場合AOCワイン(産地呼称統制ワインという意味。日常用の テーブルワインに対し、特定の産地でできたという証明付きの高級品)でも比較 的安価なボルドーBordeau、ブルゴーニュBourgogne、コート・デュ・ローヌCotes du Rhoneといった大まかな産地名の付いているものから始めるのがいいでしょ う。AOC は法律によってその土地のぶどうの品種・栽培や醸造法・収穫量・アル コール度数などを規定していて、地方・地区・村と区域が小さくなるに従って厳 しくなり、従って値段も高くなります。最も地区や村といっても高級品を出すと ころから平凡なワインしかないところまであり、後者の場合は村名が付 いてい ても安価です。普通ボルドーの赤なら安いところでは千円前後で買えるはずです 。ボルドー地方で最も高価な赤ワインを産出するのは、ジロンド川左岸の M 馘oc (メドック)で、さらにその上流側半分のHaut M馘oc になると、安く ても 千数百円になり、Grand Cruという特 級規格(この中に特級から5級までの階級 があります)だと三千円はします。また、ドルドーニュ側右岸のPomerol (ポ ムロール)地区は、最近非常に人気が出てきて、メドックよりも高価なワインが 何種類か出現しています。97年に発刊されたワインの解説本では、61年のシ ャトー・ペトリュスが55万円になっていますが、現在では百万円近くなってい るかもしれません。
 フランスの大きな地方別ワインを試すには、赤ならボルドー。ブルゴーニュ 、コート・デュ・ローヌ、それに最近注目を集めている南部のラングドック・ル ージョン地域とプロヴァンス地方があります。白ではボルドーの辛口と甘口、シ ャブリ(1500円くらいで買えるはずです)、アルザス、ミュスカデなどを飲 み比べてみ る といいでしょう。ロゼでは、現在最も安価なワインの一つになっ ている、ロワールのアンジュー・ロゼは初めての人でも飲みやすいワインですし 、プロヴァンスのもの、多少高価ですが、コート、デュ・ローヌ地方のタヴェル ・ロゼはすっきりした辛口です。

 ただ、同じAOCがついていても、ワインによってかなり味わいや品質など に差があります。残念ながら日常消費用のワインに関しては、書物にはほとんど 出てきませんから、まずはワインに詳しくて親切なショップ、そして店員を見つ けることです。小さなショップでもワインに詳しい店員がいる店が結構あります し、また、ディスカウントショップでももう価格では勝負がしにくくなってきた ことから、ワイン・アドヴァイザを置くところが出てきています。
 もう一つは南部のラングドック・ルジョン地方やイタリア産のIGTワインに よく ある、品種名が付いたワインを飲んでみることです。品種は「適地適作」 があ り ます。

 このぶどうの品種名は、ワインに出てくる名前と私たちが普段食べている、 いわゆる生食用のぶどうとは、共通するものがほとんどありません。国産ワイン でも食用と共用されるのは、「甲州」と「マスカットベリーA」だけです。これ はぶどうの品種が生食用とワイン用に大きく分かれているからです。

 ブドウ科の植物は全部で11属450種ほどあり、建物にからみついている ツタや、始末するのに最もやっかいな雑草の一つの、ヤブカラシ(藪さえも枯ら してしまうという繁殖力の強い雑草)もこの仲間に入っています。さらにこの中 にブドウ属が数十種あり、日本の山野に生えている山ぶどう、えびづる。ぎょう じゃのみず(これらは皆実を食べられる)なども入っていますが、栽培種のぶど うはすべてVitis Viniferaという1種からでたものと言うことになっています。

 しかし生食用とワイン用には、大きな違いがあります。生食用は主にアメリ カの東部が原産で、高温多湿に強く、実は瑞々しくてfoxy flaverと呼ばれる独 特の香りを持っています。黄緑色のナイアガラという品種が一番このにおいが強 いのですが、デラウエアなどでもかなりします。このにおいは生で食べるにはほ とんど苦にならないのですが、ワインについていると、ぶどうジュースにアルコ ールを混ぜたような、欧米などのワインを飲み慣れた人にはかなりの違和感があ ります(最近「信濃ワイン」のデラウエアをもらって飲みましたが、見事なまで にこのにおいがします)。

 一方ワイン用に品種はヨーロッパが原産で、乾燥した気候を好みます。実は 小さくて甘みよりも酸味と渋み・えぐみが強くて食べておいしい代物ではありま せんが、醸造・熟成させると大変魅力的なワインになります。この二つの系統が 同じ種とは不思議ですが、二つのアイ代行は異種(あいのこ)が出来、さらにあ いのこ同士、あいのことどちらかとの交配種もできるので、植物学上は1種とな っているのです。

 カベルネ・ソーヴィニョンVCabernet Sauvignonというぶどうはボルドーの メドック地 区で、 最高のワインを作りますが、フランス南部・イタリア・カリ フォルニア ・ 南アフリカ・南米などでも栽培されていて、軽い物から重い物ま で様々なタ イ プのワインになっています。ワインの色は非常に濃い赤紫を帯び たような赤で、若いうちは少し青臭いような香りと強い渋み、深いこくがありま す。

ボルドーのサンテミリオン地区で作られるメルロMerlot は華やかなすももの ような香りと、わずかな甘み、苦みのあるぶどうで、これもフランス南部・イタ リアカリフォルニア・南米などで栽培されています。二kりょうりなどこい あ じつけの料理に向いています。

 ブルゴーニュに多いピノ・ノワール種は、明るいやや朱色を帯びた赤で、渋 みが少ない代わりに華やかな酸味があり、トリュフの香りがするといわれていま す。ドイツではシュペー トブルグンダーと呼ばれていますが、ブルゴーニュと は違ったあっさりした優 しい味のワインになっています。 イタリアのピノ・ネ ッロも同じ品種です。カリフォルニアでも栽培されて、非常にいいものがありま すが、気候への順応製が弱く、ボルドー系の品種ほど普及していません。

 ブルゴーニュのみ波の方にある、あの有名なボージョレで作られているのが ガメで、赤ワインの中では尤もフレッシュでフルーティーなワインになります。 カリフォルニア産のワインにGamay Beaujolaisというのがありますが、これはガ メとは別のガメイ・ボジョレイしゅという全く別の品種のぶどうを使ったもので 、香味も大分違います。

 なお、言葉の上では明るいの反対は暗い、請いの反対は薄なのですが、言葉 のあやというか、レトリックというのか、マイナスイメージのある薄いや暗いは 使いません。

 コート・デュ・ローヌで多く栽培されるシラーというブドウは、最近オース トラリアなどでも作られるようになりました。濃い色の花のような華やかな香り があり、アルコール分の高いボディーのしっかりしたワインが出来ます。

 フランス南西部やピレネー地方、南米などに多いマルベックMalbecは、強い ヴァイオレットの香りを持っています。慣れない人は化粧品や石鹸を連想します が、色が非常に濃く、タンニンが多く、アルコール度数の高い癖の強いワインが 出来ます。

 イタリアのサンジョヴェーゼは、あの喜屋武ティに使われている品種で、エ ミーリア・ロマーニャには品種名がそのままDOCになったものがあります。淡い ヴァイオレットの香りがしますが、軽いものから国のあるものまでいろいろ作ら れています。

 イタリアワインは州ごとに特有の品種があり、なかなか覚えきれないほどで す。

 白ワイン用ぶどうとして最も有名なのは、シャブリで作られるシャルドネと いう品種で、ナッツの香り、または火打ち石の香りといわれる香りと適当な酸味 、こくを持っていて、適応性も人炒めに、世界中のワイン産地で作られるように なっています。アメリカなどでは本家のシャブリに勝るとも劣らない上質のワイ ンが作られるようになっています。もう一つドイツのリースリングは、モーゼル やラインガウ地方を打偉業する品種で、上品な香りと、さわやかな酸味があり、 辛口からごく甘口の貴腐ワインまで様々なタイプのものが作られていますが、暖 かい地方では栽培しにくく、ドイツ以外ではあまりいいものはできないようです 。

 ぶどうの品種はワイン用のものだけでも世界には数千種あるのではないかと いわれています。「ソムリエ・マニュアル」という本の最後のほうに、フランス の各AOC区域で認められているぶどう品種が書かれていますが、これだけでも 数十に登っています。
 白ワインで世界的に栽培されているぶどうはシャブリに使われているシャル ドネです。ほとんどから口で、こくのある物からさっぱりした物まで様々です。

しかし国産ワインに関しては、「ワインカフェ「など極安価なワインはそれな りに人気があるようですが、全体的に評価がいまいちなのは否めません。長野産 のメルローなど評価の高いものもあるようですが、一般に受け入れられない原因 の一つは表示がはっきりしないことが上げられます。あの「果実酒、アルコール 分14度未満、酸化防止剤含有」という紋切り型の表示は、役人どもが酒税をふ んだくったぞという証拠以外に、消費者に何の情報も与えてくれません。まず果 実酒というのが、実際にぶどうを醸造したのか、焼酎に果実を漬け込んで作った のか曖昧ですし、こんなところの「未満」を使うのは、5度の酒にも14度未満 と書けば同等の価値が出るとでも思っているのでしょうか。また「国産」と書い てあっても、外国産のぶどうジュースでも日本で醸造すれば国産ワインになるそ うで、これなら法律で企画や表示がしっかりしている国のものに食指が動いてし まうのは当然です。
 日本という国は工業製品に関しては、商標や商品名を保護しているのに、農 林水産に関する商品は、割合ルーズです。元詰めの箱にでも入っていない限り、 真贋はわかりませんし、日本に出回っているブルーマウンテンのコーヒーの総量 は、現地で生産される量より多いという話がありますが、やはりそういうところ をはっきりしなければいけない時代だと思います。

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